東京から1時間10分で行ける、自然に囲まれた酒蔵「松岡醸造」を見学&試飲
東武東上線の快速で1時間10分。
今日は梅雨の中休みで晴天。東京から気軽に行ける酒蔵がないかと探していたらありました!「帝松」という屋号を持つ埼玉県の酒蔵「松岡醸造」。
この酒蔵は、東京・池袋から東武東上線の快速に乗って1時間10分の程度の場所にある埼玉・小川町駅が最寄りになります。タクシーを使えば駅から5分で着きますが、散歩がてら酒蔵まで歩いて行きましょう。
小川町といえば「武蔵の小京都」という異名も持っており、古い建物が数多く残っているのも特徴です。そして小川町近辺には、松岡醸造のほか、酒蔵が2つ、ワイナリーも1つあります。小川町は知る人ぞ知る、東京近郊の「醸造酒タウン」なのです!
駅から徒歩5分ほどの場所にある「女郎うなぎ 福助」は、1855年創業の割烹旅館。遊女から教えてもらったやや甘めの秘伝のタレがうなぎによく合うとか。
社長の息子さんである専務に、酒蔵の案内をしていただきました。
のどかな風景を見ながら歩くこと約25分。松岡醸造の酒蔵はありました。もともとは新潟にあった酒蔵なのですが、創業者である松岡祐エ門が当時の小川町の賑わいに目を付け、嘉永4年(1851年)にこの地へと移転してきました。
案内していただいたのは、現社長の息子さんである専務です。
兵庫・灘に代表されるミネラル分が多い硬水で仕込む荒々しい日本酒は「男酒」、京都・伏見に代表されるミネラル分の少ない軟水で仕込むやさしい日本酒は「女酒」と呼ばれています。
その点で言いますと、松岡醸造の仕込み水は「硬度127m/lにもなる秩父山系の天然地下水」です。日本酒に使われている仕込み水としては最も硬度が高い硬水を使っている酒蔵となっています。しかし、マグネシウムなどの金属系のミネラルではなく石灰岩のミネラル分が主体になっているため飲んでみると柔らかさを感じさせてくれます。
そのことから、松岡醸造の日本酒は「男酒」でも「女酒」でもなく、「中性の酒」と呼ばれているそうです。
洗米機で酒米を洗った後は、お釜のようにも見える蒸米機を使って酒米を蒸し上げます。酒米を洗うときも蒸すときも、秩父山系の天然地下水を使用しています。
蒸し上げた酒米に、麹や仕込み水、酵母を入れた酒母はタンクに入れ発酵をさせていきます。
松岡醸造には冷却水で発酵タンクを冷やす従来のタイプのほか、微妙な温度調整が可能な最新式のサーマルタンク(不凍液の冷却装置付きタンク)も使っています。タンク1つでだいたい一升瓶5,000本くらいの原酒が仕込めるとか!
酒蔵内には新蔵と旧蔵(土蔵)があり、この旧蔵の中には10年熟成させている古酒も寝かせてあります。
酒蔵でも残しているところが少ない、貴重な検査室も見ることができました。
昭和の時代まで税務署員が常駐していた検査室も見学用に保存されています。今では考えられないような歴史を感じさせてくれます。
1944年まで日本酒には製造量に対して酒税が課せられていました。製造量をごまかさないようにするためにも税務署員の常駐による検査が必要だったのでしょう。
敷地内には、もちろん直売所がありました。店頭では、地下130mから汲み上げた「仕込み水」を自由に飲むことができます。
酒蔵見学が終わったら、お楽しみの試飲は直売所内で。タイプの違う6種類の日本酒が味わえます。季節限定の日本酒も販売しており、希望すれば試飲できることも!
印象的だったのは、「MIKADOMATSU 土蔵10年熟成酒」(写真左端)。ウイスキーのような熟成香をもちながら、日本酒のアルコール度数のためにスッキリとした味わいがありました。古酒というと「あの熟成香が苦手で…」という人にも飲みやすいのではないのでしょうか。
「ワイン酵母仕込 純米吟醸 褻と霽れ」(右から3本目)は、ワイン酵母を使用した日本酒です。正真正銘の純米吟醸酒なのですが、フルーティーな香りに、甘みと渋みを持った味わいがあります。
最近ではワイン酵母を使った日本酒も増えていますが、このお酒はとくに洋食と合うような気がしました。
今回は「NEWプレミアム 純米吟醸生原酒 MIKADOMATSU」をお土産に購入してみました。フルーティーな香りとフレッシュで爽やかな口当たりを持ちながら、奥深い味わいを持っている日本酒です。松岡醸造でもイチ押しの商品となっています。
酒蔵の周辺には低い山々が連なる風景が広がっています。自然を味わい周辺を散策しながら、駅へと向かうのも楽しめるでしょう。
酒蔵見学は一人からでもOKです。
現在は埼玉県内の酒屋や居酒屋以外にはほとんど置いていない松岡醸造の日本酒。ですが近いうちに東京都内でも飲めるようになるそう。「酒蔵までは行けない…」という人は楽しみに待っていてください。
松岡醸造では酒蔵見学をホームページからでも受け付けています。見学は一人からでもOKですので、ポカッと空いた日ができたときは気軽に申し込んでみてはいかがでしょうか。
(Text:bamboo)
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
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