日本酒地理的表示 GI長野が指定されました。

GI長野

GI長野シンボルマーク

日本酒の地理的表示(GI認証)の10例目として、「長野」が、今年6月30日に指定されました。
長野県は本州の中央部にあたり、北西部には北アルプス、南東部には南アルプスと、周囲を2,000m〜3,000m級の高い山々に囲まれています。県面積のほとんどが山地で、その平均標高が1,000mを超えている高原の地域です。

 

酒質の特性

長野の酒は、雑味が少ない濃厚な味わいときれいで穏やかな香りが調和した酒質です。お酒だけを飲んでも十分な満足感を得られることができますが、濃厚な味わいの料理と合わせて飲むことで、さらに料理の旨味を深めることができるあじわいです。

気候風土

この地域は、内陸性の気候で標高が高いので、7月から8月の日照時間が比較的長く気温も高くなりますが、夜間には冷え込む傾向にあり気温の日較差が大きくなります。この為、デンプン質が豊かに蓄積された酒造に適した米が収穫できます。この地域は冷涼な気候も相まって病害虫の発生が少ない傾向なので、米の栽培に使用する農薬も抑制することができます。また、長野県で収穫される玄米の農産物検査法に基づく検査規格における1等米の比率は、日本各地のものと比較して非常に高くなっています。
このように優れた原料米と、日本屈指の高い山々から流れる清冽な水により醸造される長野の清酒は、雑味が少ない濃厚な味わいときれいで穏やかな香りが調和した酒質を生み出す要因となっています。

歴史と人的要因

長野県は積雪が多く高い山々に囲まれている環境なので、冬季には新たに食料を確保することが困難でした。そのため古くから味噌や漬物等の発酵食品をはじめとする様々な保存食が発達してきました。そして、これらを用いた濃い味付けの料理と合わせて飲むための酒として、穏やかな香りで濃厚な味わいの酒質を目指して酒造りが行われてきました。
近世においては、大正6年に長野県庁が農商課の中に酒造の専任技師を配置して醸造指導を開始し、地元杜氏の育成や酒造技術の向上を図るようになりました。昭和16年には長野県立醸造試験場が設置され、新規酵母の開発をはじめとした県内酒造業者の酒造技術向上に資する様々な取組を行いました。近年では、長野県庁が平成14年に「長野県原産地呼称管理制度(Nagano Appellation Control)」を創設しました。清酒についても平成15年から認定を開始し、長野らしい清酒の品質について明確化するなど貢献してきました。

原料及び製法

原料の米及び米こうじには、3等級以上に格付けされた長野県内で収穫した玄米を県内で精米した物のみを用い、水は長野県内で採水した水のみを用いたものであること。その他原料は、酒税法で認められた原料の内、麹を含む米の重量の100分の50を超えないアルコールのみ添加できる。

製法としては、上記の製造方法で清酒として長野県内で製造し、貯蔵、瓶詰めもこの範囲内で行うこととなっています。

 

管理機関

管理機関の名称:長野県原産地呼称管理委員会 日本酒・ワイン振興室内
地理的表示「長野」を使用するためには、これを使用する清酒の製造場から出荷するまでに、各規定について管理機関が作成する業務実施要領に基づいて確認を受けなければなりません

(Text :  山路 日出夫

 

 

 

この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

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