明石名物 明石焼に合うをキーに新しい日本酒を創る!

明石焼に合う日本酒プロジェクト

プロジェクト立ち上げの背景

当サイト運営元 オフィスイチヤマ代表 山路は、明石の茨木酒造さんで日本酒のセミナーなどを開催することが度々有り、その道すがら好物の、明石名物「明石焼」を、明石駅での乗り換えの際に駅前の専門店で食べておりました。そのことを茨木社長と話をするうち、そう言えば、明石焼はビールと共に食べる事はたまに有っても、日本酒と合わせる事は聞いたことが無いという話になり、「明石焼にあう日本酒があっても良いはず」という事に気づきました。

明石焼きに合うお酒打ち合わせ

さて、明石焼はお出汁で味付けされており、本来日本酒に合うはず。明石焼を提供する店舗でも、お酒が売れればお店の売り上げにも貢献できるはず。明石焼は文化庁「近代の100年フード」に認定されているし、西灘とも言われる酒どころ明石の日本酒と組み合わせることで、地元明石の街おこしのコンテンツにもなるのではないか?といった流れで、酒造会社である茨木さん「あかし玉子焼ひろめ隊」の古志さんと共に「明石焼に合う日本酒」プロジェクトがスタートしました。

日本酒と明石焼のペアリングで、日本酒の楽しみ方をひろげる!

実は今まで明石焼をアテに日本酒を飲むという事は、なぜか地元明石でもほとんどありませんでした。
では、明石焼に日本酒が合わないのか?と言うと、唎酒師でもあり日本酒学講師の私から言わせれば答えは”NO”です。お出汁や玉子の旨みのある明石焼は、純米酒や本醸造酒などしっかりした味わいで旨みを感じるお酒にはぴったりのマッチングなのです。

明石焼きイメージ-2

ですがこのプロジェクトでは、あえて趣向を変えた明石焼に合うお酒を新たに創ることで、今までとは違った味わいでペアリング(本来違った個性の組合せで良さを引き出す)に挑み、日本酒と合わせて食べることのなかった明石焼と日本酒と合わせることによる楽しみを提案することにしました。もちろん、日本酒単独で飲んでも、美味しいと納得できる味わいを目指そうと考えました。

そもそも何故「明石」で「日本酒」にこだわるのか?

かつて西国街道の宿場町だった明石の酒造りは17世紀後期には大きく発展し、酒造家65軒、酒造米石数1万2720石にも達しておりました。
酒どころとして有名な灘(灘五郷)と同様に近くの明石川から引いた水での水車精米が盛んで、江井ヶ島の定善寺の「寺水」に代表される井戸水は灘の宮水と質が似ていて酒造用水として良質でした。そして酒造りの原料米も、江戸時代には極上米として酒米に重用されていました。このような条件が揃い、明石は酒どころとなっていたのです。

明治以降、明石 江井ヶ島(えいがしま)の酒造家の灘への進出も始まり、灘五郷の「西灘」に蔵を構える酒造家もありました。またこれらの酒造家が地元で造る酒の品質も良かったため、後に東京への進出にあたり、灘五郷の「摂津西灘」に対して「兵庫西灘」と表記されたものが、現在では明石を酒造地域の表現に限り「西灘」と呼ぶ様になったそうです。「西灘」明石は酒どころなのです。

明石_江井ヶ島の酒蔵

ところで明石焼(あかし玉子焼き)ってなに?

明石焼きを見た事はありますか?明石焼と大阪名物の たこ焼きは、一見するとよく似ています。ですから、お出汁で食べるか、ソースで食べるかだけの違いと思われがちですが、実は相当違います。違うどころか、たこ焼きの祖先とも言われているんです。

その昔、江戸時代末期に高価なサンゴの代わりになる「明石玉」という模造サンゴの玉かんざしが人気を博しており、それは明治・大正時代には中国へ輸出するほどの明石の特産品となっていました。この明石玉を作るのに卵の白身を使用したのですが、その際に黄身が余ってしまいます。この廃棄される運命の黄身と明石名産の蛸を具材に生まれたのが明石焼(あかし玉子焼とも言います)なのです。ですから、昭和初期にラジヲ焼きとして大阪で生まれた「たこ焼き」とはルーツが違うのです。こういった背景もあり 、文化庁「近代の100年フード」に認定されているのです。

明石玉 _(一社)明石観光協会画像提供

(一社)明石観光協会画像提供

明石焼の特徴は、何といってもそのふんわりした食感です。この食感は明石焼では、生地に小麦粉では無く「じん粉」(小麦粉からグルテンを除いたもの)を主に使用しているからです。このじん粉・小麦粉の配合や産地などは、専門店ごとに秘伝の配合になっています。
明石焼きを地元では玉子焼と言いますが、名前の通り、生地には玉子がたっぷり使用されており、この生地を銅製の専用の鍋で一つ一つ手作りで焼く事で、ふんわり柔らかだけど崩れない明石焼が出来るのです。そして、忘れてはいけないのが具のタコです。明石はタコの名産地です。明石市の目の前、明石海峡は潮の流れが強く、この海で育つタコは身が引き締まり日本で一番美味しいと言われます。明石焼きには、もちろん地元明石の海で育った明石ダコを使います。

「明石焼に合う日本酒」の提案

明石焼きに合うお酒を創ろうとスタートした初期から、メンバーで色々な酒質の日本酒を持ち寄り、茨木酒造さんの物以外の商品も含めて数多くテイスティングしました。その中での結論は、やはりしっかり味が乗ってキレのある、純米酒や本醸造酒がマッチするという事実でした。
それはそうで悪くはないのですが、これでは当たり前すぎて「明石焼に合う日本酒」というテーマが看板倒れになってしまうし夢がない。そこで、我々メンバー以外の方々にも加わって頂き、その後述べ16名の、若者ビギナーから年配のベテラン愛飲家までのテイスティング会を3回開催し、やっと新しい切り口で「明石焼に合う日本酒」の方向性が固まりました。

これを実現するために、全国新酒鑑評会 3年連続金賞受賞の実績がある、茨木酒造の蔵元杜氏である茨木社長が、過去に製品化したことのない「アッサンブラージュ」(個性の異なった酒をブレンドして、新しい個性の酒を創るワインで用いられる技法)の手法に挑戦しました。
数々の茨木酒造 日本酒ラインナップの中から軸になる酒決め、そこにメスシリンダーで測りながら、時にスポイドで一滴二滴加えながら、ついに目標のプロジェクトオリジナルの日本酒を創り出しました。

日本酒4タイプ分類(薫酒)この日本酒は、香りの高い「薫酒」のカテゴリーに入る日本酒です。
明石焼に合わせるなら、味が乗ってキレのある、純米酒や本醸造酒、日本酒の4タイプ分類で云うところの「爽酒」や「醇酒」が無難だろうという事は、前に述べました。なぜなら、これらのカテゴリーの酒質は日本料理の旨みと相性がよく、明石焼の味付けやお出汁と相性が良いからです。
それに対して、一般的に「薫酒」カテゴリーの酒質は、香り高く瑞々しい食材、生野菜類や柑橘等を効かせたカルパッチョなどに合うとされています。
香りを生かしつつ旨味やキレを合わせも落ち、深みもある。アッサンブラージュにより、これが可能となりました。爽やかな香りを持ちつつ、旨味の強い明石焼と不思議に合う。そして単独で飲んでも美味い。食中酒として飲んでも飲み飽きない。そんな日本酒が完成しました。

試飲会collage-1.1

クラウドファンディング。そして、

こうして明石焼という、言わば日本の出汁文化の代表格と絶妙に相性の良い、個性性格は違うけれど絶妙に仲の良い夫婦の様な日本酒が完成しました!
この日本酒を、明石焼と共に味わって頂き、日本酒の懐の深さと際立つ個性を楽しんでいただく為に、クラウドファンディングを立ち上げました。ぜひご支援をお願いいたします。
このクラウドファンディングで多くの支援を頂くことができましたら、これをバネに、明石のメインストリート魚の棚(うおんたな)商店街をはじめとする、明石焼の専門店でも、明石焼のアテに日本酒を楽しむというスタイルを広めてゆきたい。と、夢を広げています。

(Text:山路日出夫)

 

 

 

この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

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