日本酒地理的表示「GI南会津」が指定されました。
GI南会津
日本酒の地理的表示(GI認証)の17例目として、「南会津」が、令和6年8月30日に指定されました。
酒類の特性について
南会津の純米酒は、総じて口当たりがやわらかく、米由来の優しい甘みとフルーティーさが引きたった、後味がすっきりとしている点に特徴があります。
色は透明から淡い金色で、口に含むと、特に純米大吟醸酒や純米吟醸酒は、口の中に上品な甘みがやわらかく広がり、リンゴやメロンといった果実を思わせる爽やかな香りも感じられ、甘みと香りが調和した、すっきりとした余韻が楽しめるお酒です。
口当たりがやわらかく、後味がすっきりした南会津の純米酒は、この地域の食文化としては、山々からもたらされる清流で育った川魚のほか、貴重な食糧を塩漬けにして保存する塩蔵品が多く、塩蔵によって保存された川魚や山菜やキノコ、を用いた料理や越後からもたらされた干物と一緒に楽しめる食中酒として、古くからこの地域の人々に好まれています。
また、特産品である南郷トマトや会津田島アスパラガスを用いた煮びたしや天ぷらなど、心地よい酸味や苦味と油分が調和したコクのある料理とも非常に相性が良い。
気候風土
南会津町は、東北地方の一番南側に位置する福島県で、栃木県那須塩原市や日光市に隣接しています。南会津町の総面積の約9割は森林で占められ、越後山系から連なる 帝釈山たいしゃくさん(標高約2,060m)をはじめ、四方を急峻な山々に囲まれた豪雪地帯です。
この地域は太平洋に注ぐ利根川水系男鹿おじか川と日本海に注ぐ阿賀野川水系阿賀あが川の分水嶺に近く、ミネラル分の溶け込みが大変少ない平均硬度約30(mg/L)の軟水が豊富で、この軟水を仕込水に使用することで、発酵が穏やかに進み、口当たりがやわらかく、上品な甘みの酒質となります。
この地域は年間降雪量が9mを超える豪雪地帯であり、最低気温がマイナス10度以下となることもあります。一方で、夏場の昼夜の寒暖差が大きく、豊富な雪解け水があることから、福島県の酒造好適米「夢の香」をはじめとする米作が盛んに行われており、米の旨味が感じられる原料米が産出されています。
冬場は、酒蔵に降り積もった雪が天然の断熱材となることから、外気の影響を受けにくいため、酒蔵内部の温度が一定に保たれることから、繊細な温度管理が必要な酒造りに最適な環境となっており、フルーティーな香りを醸し出す一因をとなっています。
人的要因
江戸時代「南山みなみやま御蔵入領おくらいりりょう(天領地)」の一部であったこの地域では、現在の会津若松を中心とした会津藩とは異なる文化圏を形成しながら、酒造りが盛況に行われていたそうです。
この地域では、豪雪により交通が遮断されてしまうことが多く、継続的・安定的に杜氏を招くことが困難であったことから、地元の人々が、試行錯誤しながら自ら酒造りをしたことで、この地域の食文化に合った酒質が形成されていきました。
原料及び製法
原料としては、米及び米こうじに、産地の範囲内で収穫した3等以上に格付けされた米を用いている事。
南会津町内で採水した水のみを用いていること。
酒税法に規定する「清酒」の原料を用いていること。
酒税法の清酒の製造方法により、南会津町内において製造し、貯蔵、容器詰めしたものであること。
管理機関
管理機関の名称:地理的表示南会津管理協議会
住所:福島県南会津郡南会津町界字中田646-1
(花泉酒造株式会社内)
電話番号:0241-73-2029
メールアドレス:giminamiaizu@yahoo.co.jp
地理的表示「南会津」を使用するためには、これを使用する清酒の製造場から出荷するまでに、各規定について管理機関が作成する業務実施要領に基づいて確認を受けなければなりません
(Text : 山路 日出夫)
この記事の筆者
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