日本酒地理的表示「GI滋賀」が指定されました。

GI滋賀

日本酒の地理的表示(GI認証)の13例目として、「滋賀」が、令和4年4月13日に指定されました。

GI滋賀ロゴ

酒質の特性

滋賀の清酒は、全体として米由来のふくよかな甘味と旨味が特徴となっています。
味わいは、穏やかな甘味や旨味の膨らむ中にしっかりとした酸味も感じることができ、甘味・旨味・酸味・香りのバランスがとれた飲み飽きしない酒質です。

気候風土

滋賀県は日本列島のほぼ中央に位置しています。県中央部に県の約6分の1の面積を占める日本最古で最大の湖である琵琶湖があり、その琵琶湖の周りを比良・比叡・伊吹山地・鈴鹿山脈など1000m級の山々が四方を取り囲んでいます。
これらの山々から大小約460もの河川が琵琶湖に流入し、肥沃な土壌を運んで水はけの良い、肥沃な土壌の扇状地や三角州をつくりました。
これら河川からの豊かで良質な伏流水は、古くから近江盆地や棚田での稲作に利用され、有名な近江米などが生産されると共に、清酒にも使用されてきました。

滋賀県は準海洋性の気候の温和な気候ながらも、盆地特有の昼夜の気温差があるので、吟吹雪・玉栄・山田錦などの酒米の栽培も盛んです。県内の多くの酒蔵が、これらの酒米を純米酒・純米吟醸酒などに使用しています。更に盆地特有の冬季の底冷えは、清酒醸造の発酵にも影響があります。この底冷えが、より穏やかな発酵に繋がることで、滋賀清酒の「米由来のふくよかな甘味と旨味」と云う特性を醸し出しています。

(公社)びわこビジターズビューロー

歴史と人的要因

滋賀県の酒造りの歴史は古く、室町時代には百済寺の「僧坊酒」が公用日記等に記録されています。江戸時代には、東海道・中山道のほか「鯖街道」として知られる若狭街道・北国街道などの多くの街道と琵琶湖の湖上交通により、全国各地から人や物が行き交い、これらの街道沿いや宿場町での酒造りが盛んに行われるようになりました。

明治時代には、大津市に能登衆(能登杜氏)の斡旋所である「北国屋」ができました。ここを起点として数多くの能登杜氏が滋賀県の酒蔵で酒造りを行い、これら蔵人同士の切磋琢磨により、各蔵元の酒質が向上してゆきました。

近年では、平成6年に長浜市に発酵学の研究を通じた地域の文化と産業の活性化への貢献を目的に、財団法人日本発酵機構余呉研究所が設立され、また滋賀県農業技術振興センターや農協などの連携・協力によって、昭和34年まで滋賀県の酒米奨励品種であった「滋賀渡船6号」を平成16年に復活させ、県内の蔵元で清酒の原料米として使用されています。

原料及び製法

原料の米及び米こうじには、滋賀県内産で3等以上に格付けされた米のみを用い、水は滋賀県内で採水した水のみを用いたものであること。その他原料は、酒税法で認められた原料をもちいること。

製法としては、上記の製造方法で清酒として滋賀県内で製造し、貯蔵、瓶詰めもこの範囲内で行うこととなっています。

管理機関

管理機関の名称:滋賀県酒造業協同組合
住所:滋賀県大津市打出浜2-1コラボしが21
ウェブサイト:info@shiga-sake.net

地理的表示「滋賀」を使用するためには、これを使用する清酒の製造場から出荷するまでに、各規定について管理機関が作成する業務実施要領に基づいて確認を受けなければなりません。

但し、地理的表示「滋賀」が指定された日より前から「滋賀」を使用していた一部の商標などは、地理的表示「滋賀」の指定後も、引き続き「滋賀」の表示を認められています。

(Text :  山路 日出夫)

 

この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

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