日本酒地理的表示 GI山梨が指定されました。
GI山梨
日本酒の地理的表示(GI認証)の8例目として、「山梨」が、今年4月28日に指定されました。
山梨県は、富士山, 南アルプス, 八ヶ岳, 奥秩父などの2000m〜3000m級の山々に囲まれる、県面積の約78%を森林が占める地域です。また、甲府盆地においても、平均標高は300m程度と比較的高く、周囲の山々も含めると高低差が大きい地域です。
酒質の特性
山梨の清酒は総じて柔らかで、透明感のある清らかな味わいを有する酒質です。
香味は、果実を連想させる優しい香と、穀物を想起させるうま味やコクがほどよく、柔らかで透明感のある清らかな味わいで、塩気を感じさせる料理がマッチします。
気候風土
写真提供:やまなし観光推進機構
この地域では、周辺の富士山を始めとする、南アルプス, 八ヶ岳, 奥秩父などの高い山々に降る雨や雪は、山麓の地層にある花崗岩, 玄武岩, 安山岩等によって自然にろ過されることにより、これはミネラル成分を適度に含んだ軽やかさを持つ軟水の伏流水となります。
この水を仕込み水として使用し、あわせて醸造期では冬の底冷えもあって発酵が穏やかに進むことにより、雑味が少なくほどよい香りとうま味を有する、柔らかで透明感のある清らかな味わいの酒となります。
歴史と人的要因
海に面しない山梨県では、海産物を保存の効く塩物や干物に加工した上で、この地まで輸送していました。戦国時代にこの地を支配した武田信玄は味噌の製造を奨励していたといわれており、この事も、山梨県民の間で塩気を感じさせる料理を好む味覚が形成されてきたと考えられています。
山梨県は江戸幕府直轄の地として、軍事や物流上重要であった五街道の一つ「甲州街道」を有し発展してきました。甲州街道の笹子峠の前後には、およそ800mの高低差もあり、厳しい気候のもと高低差が続く街道を旅した人々にも、塩気を感じさせる料理が大変美味しく感じられたものと考えられます。
このような背景から、塩気を感じさせる料理にマッチし綺麗に交わる、柔らかで清らかな味わいを持つ酒造りになったものと考えられます。
原料及び製法
原料の米及び米こうじには、3等級以上に格付けされた国内で収穫した米を用い、水は山梨県内で採水した、南アルプス山麓,八ヶ岳山麓, 秩父山麓, 富士北麓, 富士・御坂及び御坂北麓のいずれかの水系の水のみを用いたものであること。
その他原料は、酒税法で認められた原料の内、麹を含む米の重量の100分の10を超えないアルコールのみ添加できる。
製法としては、上記の製造方法で清酒として山梨県内で製造し、貯蔵、瓶詰めもこの範囲内で行うこととなっています。
管理機関
管理機関の名称:山梨県酒造協同組合
ウェブサイトアドレス:www.yamanashi-sake.jp
地理的表示「山梨」を使用するためには、これを使用する清酒の製造場から出荷するまでに、各規定について管理機関が作成する業務実施要領に基づいて確認を受けなければなりません。
山梨県産地呼称
山梨県の酒地理的表示と併せて、原料の米及び米こうじに、山梨県内で生産した米のみを用い、水は山梨県内の特定の水系で採取された水のみを用い、かつアルコールを用いていないものは、下の表示を行うことができます。
山梨の酒
(Text : 山路 日出夫
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
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