日本酒地理的表示「GI鳥取」が指定されました。
GI鳥取
日本酒の地理的表示(GI認証)の22例目として、「鳥取」が、令和7年10月1日に指定されました。

酒類の特性について
鳥取の清酒は、麹の使用割合を高くし小ロットでの丁寧な純米酒に特化した方法で醸造することで、口当たりが柔らかく、米のふくよかな旨味と適度な酸味、キレの良さが調和した味わいを特徴としています。温度帯によって味わいの表情が変化し、特に燗にすることで米の旨味が際立つ「燗上がり」する酒も多くみられます。飲み飽きしにくく、松葉ガニをはじめとする海産物など、旨味の豊かな料理の味わいを引き立てる食中酒として親しまれています。
気候風土
鳥取県は、日本海と中国山地に挟まれた細長い地形を有し、冬季には季節風が日本海から湿った空気を運び、豊富な雨や雪をもたらします。これらは森林や火山由来の地層を通じて浄化され、適度なミネラルを含む軟らかく清らかな地下水・伏流水となり、冬季の冷涼で湿潤な気候と相まって、もろみの発酵を穏やかに進める環境を形成しています。こうした水と気候が、柔らかくなめらかな口当たりと米由来の旨味を生かしたふくらみのある味わいをもたらすと共に、酒造工程において清酒の安定した醸造を支えています。
歴史と人的要因
鳥取県の清酒造りは、江戸時代に播州から伝えられた「澄酒」製法を基礎に、酒造技術の継承とつくり手の不断の研鑽によって発展してきました。特に戦後、故 上原浩氏(元広島国税局鑑定官で鳥取県産業技術センター酒類科長)の指導のもと、「水と米で造る」という清酒本来の姿を重視し、高精白・低温発酵による純米酒造りが県内に広く普及しました。上原氏は「一に蒸米、二に蒸米、三に蒸米」と説き、良質な蒸米づくりを酒造りの基本とするとともに、原料処理や麹づくりの重要性を指導し、また、「酒は純米、燗ならなお良し」と、米の旨味を生かした純米酒の価値を広め、酒造技術の向上を促しました。現在では、ほぼ全蔵で麹米の使用割合が20%を超えるとともに、甑による蒸米や、麹の「盛り」以降を箱や小蓋による小ロットで行うなど、手仕事を重視した麹づくりが受け継がれています。さらに、人工交配されていない在来品種である「強力」(ごうりき)は、大粒で線状心白を持ち吟醸酒造りに適する一方、栽培が難しい酒米であり、産官学の連携によって復活・普及ししました。強力を用いた酒は熟成により米由来の旨味が引き立つなど、鳥取独自の酒質を生み出しています。こうした技術と原料へのこだわりが、現在の「純米酒王国・鳥取県」を形づくっています。
原料及び製法
原料としては、米及び米こうじに、鳥取県内で収穫した米(3等以上に格付けされたもの)のみを用いること。
鳥取県内で採水した水のみを用いていること。
特定名称酒の要件である「純米酒」であること。
酒米の蒸しには、甑を使用すること。
米こうじは、「盛り」以降の工程は一つの容器に対して40kg以下のロットで造ること。
こうじ米の使用割合(白米の重量に対するこうじ米の重量の割合)が20%以上であること。
製法としては、鳥取県内において製造、貯蔵、容器詰めすること。
管理機関
管理機関の名称:鳥取県酒造協同組合
住所:鳥取県鳥取市青谷町大坪249
電話番号:0857-85-0730
地理的表示「鳥取」を使用するためには、これを使用する清酒の製造場から出荷するまでに、各規定について管理機関が作成する業務実施要領に基づいて確認を受けなければなりません
(Text : 山路 日出夫)
この記事の筆者

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