さけむすキックオフイベントに参加してきました!
3月7日の土曜日に、名古屋のテレビ愛知 スタジオで開催された「酒むすキックオフイベント」に参加してきました。普段はテレビ番組の収録が行われているスタジオということで、なかなか入ることのできない特別な場所。そんな空間で日本酒イベントが行われるということで、始まる前から少しワクワクした気持ちで会場に向かいました。


イベントの司会は、テレビ愛知アナウンサーの上釜美優さんと、ZIP-FMナビゲーターの加藤玲奈さん。軽快なトークで会場の雰囲気を和ませながら、イベントは和やかにスタートしました。
「さけむす」って?
今回のイベントは、ZIP-FMとテレビ愛知が運営する日本酒メディア「SAKE TOMO」がタッグを組んで立ち上げた新しいプロジェクト「さけむす」のキックオフイベント。地元の日本酒シーンを盛り上げることを目的としたプロジェクトで、今後も日本酒に関するイベントや情報発信を続けていく予定とのことです。
受付ではオリジナルのステッカーが配布されました。このステッカーは司会のお二人がデザインしたものだそうで、「ご縁」をテーマに2枚をつなげることができる仕掛けになっています。第1回はオレンジ色ですが、今後イベントを重ねるごとに色が変わり、いろいろな「ご縁」がつながっていくというコンセプトだそうです。日本酒を通じて人と人がつながるという意味も込められていて、とても素敵なアイデアだと感じました。
普段は外部の人が入れないスタジオでトークセッション
トークセッションには、愛知県の酒蔵から2人の蔵元がゲストとして登場。愛西市の青木酒造の青木琢磨さんと、江南市の勲碧酒造の村瀬公康さんです。どちらも蔵元であり杜氏として酒造りを担っている方で、普段なかなか聞くことのできない酒造りの裏側について、たくさんのお話を聞くことができました。
まず話題になったのは「新酒」について。新酒とは、その年に収穫された新米を使って仕込まれたお酒のことで、香りが華やかでフレッシュ感があるのが特徴だそうです。できたてのお酒は発酵が終わったばかりの状態に近く、微発泡のような爽やかさを感じることもあるとのこと。普段何気なく「新酒」という言葉を耳にしていましたが、その背景にある酒造りの工程を知ることで、日本酒の楽しみ方がさらに広がるように感じました。
青木酒造の特徴として紹介されていたのが、蔵に住みつく天然酵母を使った酒造りです。一般的には培養された酵母を使用することが多いそうですが、青木酒造では蔵の中に自然に存在する酵母だけで発酵させているとのこと。この話が出たとき、隣にいた村瀬さんが思わず「それはなかなか考えられないですね」と驚いた様子で話していたのが印象的でした。酒蔵の中でも、酵母はとても重要な要素。多くの蔵では安定した発酵のために管理された酵母を使うのが一般的だそうで、蔵に住みつく酵母だけで酒を仕込むという方法は、かなり挑戦的なスタイルなのだそうです。
さらに青木さんは、発酵にかける時間についても特徴的な取り組みをされているそうで、一般的な酒蔵ではもろみの発酵期間が25〜30日ほどであるのに対し、青木酒造では60日以上かけてゆっくり発酵させるとのこと。この話を聞いた村瀬さんは「それもなかなか勇気がいりますね」と笑いながら話していて、同じ蔵元同士でも驚くような造り方があるのだと感じました。
青木さん自身は、「味をこうしたいというより、微生物がどんな酒を作るのかを見守っている」という感覚で酒造りをしていると話していて、その言葉からは自然の力を信じる姿勢が伝わってきました。
一方、勲碧酒造では五条川の桜から採取した「桜酵母」を使った酒造りを行っているそうです。桜酵母で仕込んだお酒は、メロンやマスカットのような華やかな香りを感じることもあり、やわらかな味わいが特徴とのこと。桜の名所として知られる五条川の風景を思い浮かべながら飲むと、また違った楽しみ方ができそうです。
トークの中で特に印象に残ったのが、蔵元の一日の過ごし方についてのお話でした。いわば「蔵元の24時間」です。
青木さんの場合、冬の酒造りの時期は朝5時40分頃に起きて準備をし、6時から作業が始まるそうです。まず前日に洗っておいた米を釜に入れる作業からスタート。その後、発酵中のもろみの状態を確認し、温度のチェックや攪拌作業などを行います。さらに麹の状態も確認しながら作業を進めていくと、蒸した米が出来上がるのが朝8時頃。そこから麹づくりや仕込み作業などを進めていくと、午前中だけでかなりの仕事量になるそうです。
午後は次の日の仕込みの準備が中心になります。米を洗ったり、必要な道具を準備したりと、翌日の作業をスムーズに進めるための大切な時間です。夕方には一日の作業が終わることもありますが、麹の状態を見るために夜中に蔵へ行くこともあるそうで、特に酒造りの初期は夜中に2〜3回様子を見に行くこともあるとのことでした。ほとんどの時間を酒造りに費やす生活で、「趣味は寝ることになってしまいますね」と笑いながら話されていたのが印象的でした。
村瀬さんの一日も同じく忙しく、朝5時頃に起きてその日の作業予定をノートに書き出すところから始まるそうです。作業開始は6時半。最初はやはり米を蒸す準備から始まり、もろみの状態確認やサンプリングなどを行います。9時頃に蒸し上がった米を使って麹づくりや仕込み作業を進め、午前中はほぼ仕込み作業に集中するそうです。
午後になると瓶詰め作業なども行い、夕方には麹に種麹を振る作業などが続きます。すべての作業が終わるのは夜7時頃のこともあれば、準備や確認作業が増えると夜遅くなることもあるそうです。食事を取るのが夜8時や9時になることも珍しくなく、就寝は11時から深夜になることもあるとのことでした。
また、こうした作業は決して大人数で行われているわけではなく、家族や少人数のスタッフで進めているという話にも驚きました。想像していた以上に少人数で、しかも長時間の作業を続けながら酒造りが行われているということを知り、日本酒一杯の重みを改めて感じました。
お待ちかねの交流会
トークセッションの後は、スタジオの外のロビーに移動して交流会が行われました。ここからは実際にお酒を飲みながら蔵元の方と直接話すことができる時間です。青木酒造さんの「米宗 純米吟醸 春酒「米宗 純米吟醸 春酒 2024BY」 勲碧酒造さんの「勲碧 純米吟醸 桜酵母 あらばしり」勲碧 純米吟醸 原酒 氷温熟成酒」が準備され、まずは乾杯!

おつまみとして提供されていたのは、味噌メーカー佐藤醸造の土手煮。じっくり煮込まれた味噌のコクが日本酒ととてもよく合い、ついついお酒が進んでしまいました。会場では、先ほどトークに登場した新酒の飲み比べも楽しむことができ、それぞれの蔵の個性を感じることができました。
同じ「新酒」でも、造り方や酵母の違いによって味わいが大きく変わることを実感できたのも面白い体験でした。蔵元の方に直接話を聞きながら飲むと、味わいだけでなく、その背景にあるストーリーまで含めて楽しむことができるのが、日本酒イベントの魅力だと改めて感じました。
イベントの最後にはじゃんけん大会も行われ、会場は終始和やかな雰囲気。日本酒を通じて人と人がつながる、まさに「酒むす」という名前にぴったりのイベントだったと思います。
今回が第1回とのことですが、これからもさまざまなイベントが予定されているそうです。日本酒の魅力を改めて感じることができた、とても楽しい時間でした。今後の「さけむす」の展開も楽しみにしたいと思います。
(TEXT:平井田あい)
この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
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