いよいよ田植え。そこには酒米ならではの工夫が!
田植えに向けて苗代作り
西海酒造自社田の田圃作り。前回のレポートでは田起こしを行い、レンゲや米糠を土にしっかり混ぜ込んでやるところまでをお伝えしました。
その後、堆肥になる様に何度かトラクターで耕します。その一方で田植えまでの間に、苗代で種籾から苗床に稲の苗を育ててゆきます。
苗床に種籾を撒き屋内で保温すると5日くらいで発芽してくるので、ここからは屋外の苗代で育てます。なぜ最初は屋内で育てるかというと、発芽前のものを屋外に置くと直ぐにスズメ達にほじくられてしまうからだそうです。
屋外では水をはった苗代で四週間ほど育てます。ここで使っているお水は、贅沢にも清酒 空の鶴の仕込み水です!
いよいよ田植えです。西海酒造さんでは酒米ならではの工夫をします。
酒米の中でも山田錦は育てにくい稲として知られています。前回のレポートでも書きました様に、背が高くて倒れやすいためですね。稲は育つ過程で株が分かれて増えてゆくそうで、普通の稲の様に沢山の苗を一緒に植えると、その株の中で実らない稲が育ったり、茎が細く育って倒れやすくなるそうです。植え方はそれぞれの農家さんのやり方がある様ですが、西海酒造さんの田圃では株が増える事を考慮し「細植え」といって苗を一本づつ植えてゆきます。また苗の植え方も通常と違って隣同士の列の間も広くとって(条抜き栽培)やる事で、薬剤散布を行わないでも病気になり難く、しっかりと熟した実が実る様に工夫されているそうです。効率的とは言えないかもしれませんが、米作りが自身の造る酒に直結するだけにできる事なのだと思いました。
兵庫北錦は、山田錦と比べると背が低く倒れにくく、また病気にも強い品種という事で山田錦よりは間隔を詰めて植えてゆきます。
この様に、密集して植えても十分育ち収量のあがる一般米と比べると、植え方の違いが良くわかりますね。
東播磨地方で特に明石市には大きな河川が少ないので、田圃に引く水は溜め池の水に頼っています。水の豊富な地域と違い、気温が高くなっても自由に水の量を変えて温度をコントロールすることができないので、特に近年夏の気温が高いのでいつも苦労されているのだそう。そうして、稲はすくすく育って穂をつけてゆきます。(Text:山路日出夫)
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
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