松之山の泊れるバル「醸す森」を訪れる

BAR & HOSTEL 醸す森

松之山温泉をご存知だろうか。松之山温泉といえば兵庫県の有馬温泉や群馬県の草津温泉と並び、日本三大薬湯として知られる名湯であり新潟県の十日町市の山間にあるのだが、先の2つの温泉地とは異なり、しっとり落ち着いた静かな温泉町だ。

松之山までは、車でなら関越道の六日町IC、北陸道なら上越ICからおよそ1時間くらいのところで、米どころの平野部から山道に入るとかなり山深く感じるが、道は適度なワインディング路で快適なドライブを楽しむ事ができる。

そんな松之山温泉の近くの、さらに山道を登った先にBAR & HOSTEL 醸す森はある。

醸す森

おふくろ館の再生プロジェクト

醸す森は昨年の夏、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に合わせて7月29日にオープンした。私が訪れた時は丁度オープンから一年が経ったところだ。

元々この建物は十日町市の「おふくろ館」と言う名の自然体験施設だったそうだが昨年閉鎖されることになった。その際、松之山温泉で「酒の宿」として知られる「玉城屋」を経営する山岸さんが、子供の頃から親しんだ施設でありまた、3年に一度の地元の一大イベント「大地の芸術祭」が開催されるその時に地元の象徴的施設が閉まってしまっているのは悲しい!と、この施設の再生を決心されたのだそうだ。

醸す森のコンセプトは、カジュアルなオーベルジュ

建物の一階に、広いダイニングバー「醸す森バル」がある。バルに面した一面の窓からは連なる山並みの緑が広がる。夕暮れ時だと夕陽に照らされた山々も美しいだろう。

窓の反対側、厨房の壁にはこれまた一面のガラス棚の中に無数のワイングラスが並ぶ。醸す森バルは、玉城屋のシニアソムリエでさんがワインをプロデュースされているそうで種類も豊富に用意されている。もちろんグラスワインも赤白それぞれ何種類も用意されているので、少人数でも十分楽しめるはずだ。

ワインの他には、昨年行われた、世界唎酒師コンテストでファイナリストの「玉城屋」主人 山岸さんが選んだ、新潟県の日本酒が地元の物を中心にセレクトされている。

醸す森BARソファー席

醸す森バル ソファー席では、大きな窓を通して緑あふれる眺めが楽しめる。

醸す森バル

醸す森バルは広いテーブルで席数も十分。

ツーリングの目的地に最適

醸す森はひとことで言うと、帰る心配をしないでいいバルだ。だから、美味しい料理をいただきながら、好きなお酒をたっぷり飲んで、そして気兼ねなく寝る。と言うわけでお値段もかなりリーズナブルな設定になっている。

もちろんホステルなので宿泊施設は豪華なものではないが、和室のスタンダードルームの2名利用(一泊二食)で1万円前後だ。4名なら8000円くらい(週末は約1000円+)だから、都会のレストランで食事する値段で、食事を楽しんだうえ帰る心配をせずに泊まれてしまうから、気の合った仲間と集うのに良いだろう。

宿の前の駐車場は十分広いし、ここまでの道のりもクルマやバイクでのツーリングに快適なので、特に首都圏からの泊りがけツーリングの目的地に最適ではないだろうか。

各部屋にはバス/トイレは無いが温泉やシャワーブースもあるので、ツーリングの後、汗を流してゆっくりくつろぐ事ができる。

醸す森の庭

醸す森の庭にはハンモックやテーブルなどがあり、緑の中でくつろげる。
ここでバーベキューをする事もできる。もちろん材料などは準備してもらえるので手ぶらでOKだ。

アオゲラ

いろんな種類の野鳥を見る事ができる。
この子はアオゲラ。

ディナーは本格的なフレンチ

一泊二食のプランの夕食は本格的なフレンチのコースが提供されるので、メニューを紹介しよう。

まず前菜は原木の切りたて生ハムとパテ・ド・カンパーニュ。そしてコーンのポタージュと胚芽の自家製ロールパン。たっぷりの季節野菜のサラダ。メインディッシュは鴨胸肉のロースト。デザートはヨーグルトのソルベ。と、お手軽ディナーと謳っているものの十分な内容とボリュームだ。

コースメニューの他にもアラカルトメニューがあり、当然バルとして利用する時のおつまみとしてもオーダーする事ができる。

料理はどれも手作りで美味しく、ポタージュはしっかりとスープのダシが効いていて本格的な味わい。サラダも野菜が美味しいのはもちろん、ドレッシングの酸味もちょうどよい感じでアクセントになっていて量が多くても飽きない。メインディッシュの鴨ローストは表面が香ばしく焼かれ、中はジューシーでしっとりして美味い。

コースなので順番に出されるのだが、前菜は十分ボリュームがあるのとワインをゆっくり飲みたかったこともあって、マナー的に反則かもしれないけど、最後までチビチビ食べさせてもらった。

醸す森ディナー

清酒 醸す森

今回は食事には赤ワインを合わせたのだが、最後の仕上げに日本酒をオーダーすることにした。先に述べた様に、ご主人セレクトの地酒が用意されているが、ここではご主人の山岸さんが近隣の津南の蔵元、苗場酒造さんとコラボして生まれた「醸す森」オリジナルのお酒を選んでみたい。

今回は、純米大吟醸の生酒、同じく純米大吟醸の生詰、純米吟醸の生詰の3種類から、純米大吟醸の生詰をチョイス。

参考までに、原料のお米は全て津南町産の五百万石を100%使用し、大吟醸は50%、吟醸は60%の精米歩合です。

グラスに顔を近づけると果実を思わせる甘い香りを感じますが、うるさくはならず、食中酒としても行けそう。そして、このお酒の特徴は何と言っても、一段仕込みによる乳酸による甘酸っぱくスッキリした味わいです。やや重めのコッテリした味わいの料理や、前菜で出されたパテ・ド・カンパーニュなんかとも相性良さそうです。

醸す森 純米大吟醸

醸す森 純米大吟醸。これは火入れをしていない生酒。

清酒「醸す森」は、BAR&HOSTEL 醸す森と越後湯沢駅のぽんしゅ館で購入できるほか、苗場酒造さんのホームページからも購入することができる。

醸す森の朝ご飯

バルが主体とはいえ一泊2食プランなので美味しい朝食が準備される。

醸す森の名前通りこの建物の地下では味噌を造っていて、その味噌と地元の食材を使って、近くにお住まいのおばちゃん手作りの、家庭料理というには少し豪華な朝ご飯を食べる事ができる。

醸す森の 朝ご飯

醸す森の 朝ご飯。これにご飯と具沢山のお味噌汁が付く。

醸す森の 朝ご飯 内容

醸す森の 朝ご飯 内容が可愛いイラストで描かれている。内容は日によって少し変わるみたい。

醸す森周辺の見どころ・星峠

星峠の棚田に行ってみた!

松之山周辺はかなり山が迫った地域なので棚田がたくさんあるが、その中でも有名なのが「星峠」の棚田だ。大小200もの棚田を峠の上から一望に見られるという絶景で、2009年NHK大河ドラマ『天地人』のオープニング映像にも使用されたことでも有名だ。特に田植え前に田んぼに水が張られた状態の「水鏡」が特に美しいそうだが、残念ながら今は夏なのでこれを見ることはできない。とはいえ、朝早く起きて見に行ってみることにした。

前の晩に宿でGoogleマップで大体の場所を確認しており、大体20分くらいでいけそうだ。そんなに道も多くないから大体こっち方向に車を走らせれば行けるだろうと、出かけたのがまずかった。

まず、自分の車のナビに「星峠」が入っていなかった!(ナビにもよると思うが)けど、まあ途中で道が分からなくなったらGoogleマップで調べようと車を走らせると道の分岐点へ。さて、Googleマップさんと思ったら、なんと圏外!民家もポツリポツリあるのだが、私の使っているauはサービスしていない地域のようだ。止むを得ずテキトーに車を走らせているうちに完全に分からなくなってしまった。途方に暮れつつ少し開けたところの棚田のところまで行くと、微かにアンテナが一本立っているではないか! 祈る気持ちでGoogleマップを立ち上げるとなんとか表示できた!すると随分見当違いの方向に来ている事が判明。さっきの分岐点を右に曲がらなければいけなかった。と、いうわけでそこまで戻って曲がり、スマホに表示されているGoogleマップの画像を大事にしながら道を辿ってゆくと案内表示の看板を発見! やっと星峠にたどり着く事ができた。

星峠

星峠に着くと、車が数台停められる駐車場があったので、そこに車を停め少し道なりに歩いてみる。道の先にももう一箇所駐車場があるが、そのあたりは少し木が茂っていて見晴らしが悪そうだ。

星峠は聞いた通りの絶景だった。稲が育っているので水鏡は見られないが、下界に朝霧がたなびく一面の棚田の風景は素晴らしかった。夜の星空も周りが暗いのでとても美しいとの事だが、道が狭く、おそらく真っ暗であろうから車での走行は余程注意しないと危ないかもしれない。

星峠の棚田

星峠の棚田を望む。季節が夏なので緑の棚田だ。

星峠の棚田から越後山々を望む

星峠の棚田から越後山々を望む。早朝なので朝霧に日差しが当たり幻想的な風景。

星峠に向かう峠集落には、2006年の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の際に、築150年超えの古民家の内部空間(床や梁、柱など全て)をノミで全て彫刻したアート作品「脱皮する家」がある。今回は早朝であり見学する事はできなかったのだが、次に訪れる機会があったら是非行ったみたいと思う。実は古い建物なんかも好きなのだ。

季節によって表情を変える山あいの集落の風景やその地域を生かしたアート、そして美味しい料理とお酒を気の合う仲間と気軽に楽しむ。こんな日常から少し離れた楽しみ方をするのにBAR & HOSTEL 醸す森 はうってつけの宿だろう。(report : Kotaro)

この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
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