新酒のシーズンになりました。ところで、槽搾りをご存知ですか?
日本酒の醪を搾ることで日本酒になります。
この秋に仕込んだお酒が出来上がり、各蔵元さんでは新酒を上槽(搾る)するシーズンになってきました。
今月の中頃に日本酒学講師仲間と福島県の蔵元を訪ねましたところ、その際に槽(ふね)を使って上槽(じょうそう)している作業をラッキーにも見学する事が出来ました。槽自体は酒蔵を見学させて頂いた際などに何度か見た事は有ったのですが、実際に作業しているところを見学出来たのは貴重な経験でした。
発酵した醪(もろみ)を搾る=濾す事で初めて日本酒(清酒)になります。
お酒を搾る方法は一般的には自動醪搾り機(ヤブタ式が有名)を用いる事が多いのです。この装置では縦に並んだ濾過板の間に入った醪を空気の力で圧搾して絞ります。滓(おり)引きが要らない事や人手が掛からず短時間で作業が終わる為に酸化劣化し難いと行った利点があります。
槽搾りとは?
自動醪搾り機が出来る以前は槽を用いました。槽は木製や金属や石などで造られた大きな長方形の箱で、この中に酒袋(さかぶくろ)を並べて積み重ねます。初めは自重で酒を流れ出させ、その後上から押し板を当てて圧搾します。荒走り、中垂れ、責めの3行程に分けて上槽を行い、荒走りと中垂れで一日、責めと粕取りで一日と2日がかりの作業になりますが、荒走り、中垂れでは繊細で良好な酒質を得られるので、蔵元によっては現在でも槽を使った上槽が行われています。
今回の映像は醪を酒袋に入れて槽に並べている作業風景です。蔵人さんはテキパキ働いていますが、多分大変な重労働だと思います。
高橋庄作酒造店様、お忙しい中見学させて頂きまして有難うございました。
( Text:山路日出夫)
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
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