夏の田んぼ 〜 やっと実った稲が台風で!
夏の田んぼ ~ 稲刈り
前回、田植えをレポートしてから時間が経ってしまいましたが、いよいよ稲刈りの時期となりましたので、夏の田んぼの様子から稲刈りまでを写真でレポートします。
7月
7月上旬の西海酒造さんの田んぼの様子です。
僅か一株だった苗ですが、田植えから一月で株の数が増えている事が判りますね。
これを分蘖(ぶんけつ)と言い、山田錦は分蘖の数が多い品種だそうです。
8月
お盆前になると、かなり成長して稲の背が随分高くなってきました。
この頃には、早生の兵庫北錦は稲穂が開花しています。山田錦は夏至になってから稲穂が育ち始めるため、まだ稲穂が見られませんが株はかなり増えているのが分かります。あまり株が増えすぎると稲穂への栄養が行き渡らないので、増やし過ぎないのも米作りのテクニックだそうです。
9月
9月に入ると山田錦の稲穂も育ち開花しています。この頃には兵庫北錦は実が育ち、すでに稲穂が頭を垂れています。
向かって左側が山田錦、右が兵庫北錦です。成長の違いがよく分かりますね!
9月末ごろになると山田錦もかなり稲穂が実り頭を垂れています。右奥の兵庫北錦は一週間前に稲刈りが終わっていました!
(平日だったので見に行けませんでした…。涙)
山田錦はまだ見が十分熟しておらず、刈り取るのは二週間くらい後の予定だそうです。
山田錦の名産地の三木市内でよく見かけるように山田錦の田んぼにはノボリが立ててあり、西海酒造さんの酒米を育てている目印になっています。
10月、そして台風19号の影響
9月末にお伺いした時には、今年は台風が少なくて助かったと話してくれた西海さんですが、10月に入って、東日本に甚大な被害を与えた台風19号の風が兵庫県はかなり強く、山田錦は全て倒れてしまいました。しっかり茎が太く育っているので折れてはいませんが、大きくシナリ、田の縁の稲は土に触れてしまっています。この状態だと籾が発芽してしまうため心配です。
また雀や鳩も大敵!やはり田の外周部の稲の稲穂の熟した部分はすっかり食われてしまいました。
台風で倒れた山田錦を刈り取るのは大変で、特に雨などで濡れているとコンバインの内部で稲が詰まってしまうため、晴れている日にしか稲刈りはできないそうです。ここからは時間とお天気の勝負です。
山田錦の稲刈り
早く稲刈りをしたかったそうですが、生憎とお天気の悪い日が続き、刈り取りが出来たのは前回伺ってから一週間たってからでした。
雨が続いた事もあって、土に触れていた稲穂は以前に聞いていた通り僅か一週間で発芽してしまっています。この籾は使えないそうです。
倒れた稲を刈り取るのは機械にかかる負荷が高いので慎重にコンバインを進めますが、度々手入れをしてやる必要があり時間のかかる作業になってしまいましたが、なんとかこの田んぼはその日のうちに、もう一つの田んぼも翌日中に刈り取りが終えられそうだと言うことでした。
刈り取った籾は、水分量を確認しながら、水分量が15%以下になるまで乾燥させてゆきます。その後、特定名称酒に使うために(※) 酒米の等級検査を受けて、やっとお酒造りに使える原料米になります。
(※) 特定名称酒を名乗る為には、使用する玄米が農産物検査で3等級以上である必要があります。
(Text:山路日出夫)
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
office-ichiyama.com