日本酒文化祭!に行ってまいりました。

日本酒文化祭!

「日本酒好きの 日本酒による 日本酒好き のための文化祭」がコンセプトで、通常の日本酒イベントの様に、単に日本酒がたくさん飲めるというだけではなくて、学びの場や体験があったりと、日本酒好きな人の交流の場を文化祭のノリで提供しようというイベントです。昨年に引き続き、本年は第2回目の開催です。

開催される場所は、だいたいこの手のイベントは街の中の華やかな所が多いのですが、このイベントに関しては池袋のすこし街はずれ、廃校となった小学校を利用した施設を利用しています。従って、イベント会場は各教室で正に文化祭?

日本酒文化祭!2019会場

会場は、大きく試飲コーナーと物販・実験を行う教室が3つ。発表会やエンターテイメントを行う教室が2つ。特別授業を行う教室が1つと云う構成です。

選りすぐりの日本酒が並ぶ試飲コーナーには、もちろん燗酒コーナーもあって、好みの温度に燗をつけてもらうことも出来ます。しかも、燗酒コーナーは他の試飲ブースにある日本酒の持ち込みも可能で、このお酒は流石に燗をつけた事ないよなあ!、みたいなのも出来たりします。

試飲コーナーの他には、日本酒のラベルやキャップを使ったこだわりのグッズや酒器の販売、お酒を擬人化したゲームのデモ、お酒の実験コーナー(今年のテーマは「何を飲むかでなく、どう飲むかを楽しむ」でした)など多彩なブースが出展します。

このイベントを文化祭!たらしめているのが、「文化祭シアター」で開催される映画上映会やライブなどと、懐かしい小学校の教室で蔵元さんが行う特別授業です。

昨年たまたま、人気一酒造の遊佐社長さんが講義する事を知って出掛けた日本酒文化祭ですが、結構この手作り感満載の独特のノリと雰囲気とハマってしまい、今回は2日通し券での参戦です。

とは言え、諸事情に加え神戸からのロケーションの関係もあり、1日目の土曜日16時からの参加しました。催は色々有るのですが、今回は蔵元さんの講義全制覇をテーマで行くことにしました。

なので、1日目は剣菱の白樫社長さんの講義を受講して、翌日曜日の2日目は、12時から竹林の丸本社長さん、紀伊国屋文左衛門の中野社長さん、澤乃井の小澤社長さん、みちのく六歌仙の松岡社長さんと4講義通しで受講する事にしました。

まずはお酒の実験コーナー

1日目は、剣菱さんの授業開始まで少し時間があってので、展示ブースめぐり。ここでは去年も出展されていた、お酒の実験コーナーへ。

昨年は確か、燗の温度による香味の変化を色々実験的に体験させてくれたと記憶しますが(間違ってたらごめんなさい!)今年は2つの実験テーマ。ひとつは日本酒にそのままソーダマシンで炭酸を添加したら?を添加前後で飲み比べて味わいの変化を体験するというもの。もう一つは、徳利で燗をつけたお酒と、フラスコで燗をつけたお酒の味わいの違いを体験するものでした。

実際体験してみると、炭酸を添加すると予想に違わず、華やかさなどの風味が強調される様です。一方少しあらさも感じられる様に思いました。フラスコの燗は、これはびっくり。明らかに丸みがあってまろやかな味わいに変化していました。なんでやろ⁈ どなたか説明できる方、いらっしゃいませんか?

お酒の実験コーナー

蔵元さんの特別授業に出席

剣菱酒造

1日目の剣菱 白樫社長さんからは、創業500年を越える剣菱の歴史に始まり現在に伝わる酒造りの伝統について講義いただきました。

灘の大手酒造会社にして銘柄はわずか5銘柄。(灘酒研究会が主催する「灘の生一本」と障害者施設とのコラボする「なんでんの」を除く)しかも全量箱麹による手造りで蔵付き酵母の山廃仕込み。と独自の酒造を貫いているのは、創業以来の歴史の中で起こった事件を背景に、剣菱というブランドの持つあるべきお酒を追求した結果である事を、こう書くと堅苦しいのですが、白樫社長のユーモアを交えた軽妙な語り口で教えて頂きました。

今回の剣菱さんの講義テーマである家訓の「止まった時計でいろ」とは、流行や目新しさを追わず、剣菱の味を変えず(変えない為に)絶えず造りは変えると云う事なのです。

その為、ほとんどの銘柄は米の精米歩合が仕込みごとに異なりまた、貯蔵熟成したお酒をブレンドして出荷することから、特定名称酒を名乗れず、あえて普通酒として商品化されている事を知りました。なぜ剣菱は普通酒なのか?の疑問がやっとはれました!

また、現存する最古の日本酒蔵元の一つ(の責務)として、米作りを廃業する農地の受け皿づくりや、剣菱で今でも多く使われている木製の酒造道具を作る工場を作り、職人を育成するなどの取り組みを始められているとの事です。歴史の重みを改めて感じる講義でした。

剣菱酒造 白樫社長

丸本酒造

2日目の一時限目は、竹林の銘柄で知られる岡山の丸本酒造、丸本社長さんの講義です。丸本社長は、「農と言える酒蔵の会」の設立メンバーの一人で、酒造りに使う原料米の自家栽培に取り組んでおられる蔵元さんです。

筆者は別のコラム「米作りからの酒造りを一年間密着レポート!」で本年度の米作りを取材している事もあり、大変興味を持って聞かせて頂きました。

中でも玄米の穀物検査にる等級だけでは、お酒造りに適したお米であるかを実は判断できないとか、自家栽培する事でどの様なことが蔵元と判るかなど、筆者も取材したり色々調べたりしている中で疑問に思っていたことを、改めて実際携わっておられる方から直接説明頂いた事で得心した次第です。

丸本酒造 丸本社長

日本酒文化祭!ホームページより引用させて頂きました。

中野BC

二時限目は和歌山の中野BC、中野社長さんです。ちょっと蔵元としては変わった、社名にあるBCとは、Biochemical Creationの略だそうで、2002年に中野酒造から改名されたとの事でした。中野BC株式会社は1932年に将来の酒造りを見据えて醤油造りを始めた事が前身だそうです。その後甲類焼酎、果実酒と商品ラインを広げつつ、昭和33年に念願の日本酒「長久」を製造、昭和60年代に特定名称酒「紀伊国屋文左衛門」を発売しています。その後も、和歌山らしい商品作りで「梅」を中心にこだわりの梅酒商品の開発や焼酎、ジン、健康食品までと幅広い商品商品を展開しており、その為社名も変更したという事でした。

日本酒を頑なに少量作り続けるそういう道もあると思いますが、この様に地方の特色を生かして幅広く取り組んでゆく道もあるのだと云う事が分かりました。

中野BC 中野社長

小澤酒造

三時限目は東京は奥多摩の小澤酒造、小澤社長さんの講義です。やはり地元東京の人気銘柄という事で、教室は満席になっていましたが、小澤社長が今時の女子高生風のコスプレで現れたのには少しびっくり。

小澤酒造さんも300年以上の長い歴史を持つ蔵元さんですが、その長い歴史の中で、実は今伝わっている内容が??

そもそも創業の時期が実は不明。古文書で分かっているのが1702年だったからそうなっているとか、23代目も??だったり、そもそも小澤姓では無かった!など、今まで明かされていなかった⁈新事実が数多く明かされた講義でした。

小澤酒造 小澤社長

六歌仙

最後の四時限目は、六歌仙の松岡社長さんの講義でした。六歌仙の名前の由来は、前身の5つの蔵が共同瓶漬けを行う事業を開始した事からスタートし、各蔵の醸造部門を集約して新しい6つ目のブランドを立ち上げた事から、6という数字と歌の響とお酒が心に響くと言う意味で六歌人から六歌仙と命名したそうです。ただ、「みちのく」と付けたのは、六歌仙ではどうしても京都と間違われるからだったそう。

六歌仙さんは、地域貢献できる酒蔵を目指し、地域に根ざした酒造りに取り組んでいます。例えば、原料米は96%が山形県産との事です。その為、原料米が非常に大切になってきており、地元の農家と一緒に酒造りを行うと云う取り組みを行っているそうです。

六歌仙 松岡社長

 

 

2日間の日本酒文化祭!に参加しましたが、これだ多くの蔵元さんから濃密なお話を聞ける機会は、知る限りこのイベントしかなく、来年もまた是非参加したいと思った次第です。また、その他各ブースでの実験・実演も先に書いた様に魅力的なので、これを読まれた皆さんも来年は是非参加される事をオススメします!

日本酒文化祭!2019ライブ

この記事の筆者

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)

日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
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