刈り取ったお米は等級審査を受けて精米します
等級審査〜精米
春から取材させて頂いている西海酒造さんでは、兵庫北錦に引き続き。山田錦の刈り取りからおよそ1ヶ月経ちました。
刈り取ったお米は、どちらもすでに等級審査を終えていました。
西海酒造さんでは特定名称種しか醸造していませんので、全てのお米は等級審査を受けます。
特定名称種を名乗るには? 酒米の等級審査とは?
特定名称種を名乗るための条件は、麹歩合やアルコール添加量などのほかに、使用するお米についても制限があります。これは、例えば酒造好適米でないとイケナイといった事では無くて、等級審査(※)を受けて3等以上のお米を使用する事が決められているのです。
お米の等級はお米の外観(整粒歩合)で決まります。収穫された玄米の内、熟していない米や発芽したり虫に喰われた米、着色している米、籾などの異物などの含まれる割合によって3等から特等、特上の5等級に分類され、これらの割合が少ないほど上位になります。この規格に入らない砕米や屑米などを等外米、更に等外からも外れたものは、規格外米、特定低品位米と呼ばれます。
等級審査?級別審査?
※:よく「等級審査」とか「級別審査」と言われますが、実はこれらの名称はありません。正しくは、農水省が制定している「農産物産物検査」です。その中に「玄米の検査規格」があって、玄米の品位を判定する基準があり、玄米には「水稲うるち玄米及び水稲もち玄米」「陸稲うるち玄米及び陸稲もち玄米」「醸造用玄米」の3つの検査規格があります。
本コラムでは、分かり易い様に、あえて「等級審査」という言い方で記述しました。
今年のお米は兵庫北錦のは良くできたのですが、山田錦は最後の最後で台風の被害を受けたので、少し良くなかった様です。
酒米の精米
今回伺った時は、ちょうど山田錦の精米中でした。精米機は、現在杜氏を勤められている蔵元の息子の英一郎さんが子供の頃から稼働しているもので、かなり骨董品とのことですが、ちゃんと仕事はこなしてくれます。
いま精米している山田錦は現時点では精米歩合50%ですが、これから45%まで磨いて、麹米に使用するとのこと。
すでに心白に近い事から米が脆く砕けやすくなっており、更に5%精米するには、ゆっくりすこしずつ削ってゆく為に、あとまる1日を要するそうです。
こちらの蔵元さんでは心白が中心に残る様に、お米の形に楕円形に削っていきます。
兵庫北錦は掛け米にのみ使用しますが、こちらの精米歩合は60%です。兵庫北錦は心白がおおきく、砕け易いので、高精白には向かないとのこと。
精米と併行して、蔵では麹造りや仕込みにむけてタンクの点検や消毒など、準備が着々と進んでいます。
2週間ほど後には、いよいよ酒造りの最初の山場、麹造りがはじまります。(Text:山路日出夫)
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
office-ichiyama.com