日本酒ができるまで
日本酒ができるまでを、順をおって解説します
原料のお米
精米
玄米の表面近くには、たんぱく質や脂質が多く、酒の味が荒くなってしまうので白米を使用します。
通常、お酒に使うお米の精米歩合は70%以下です。たとえば、吟醸師は60%以下、大吟醸酒は50%以下で、よりスムーズで洗練されたお酒になります。
精米歩合(せいまいぶあい)
精米歩合は、次のように計算されます。
精米後の米の重さ/玄米の重さ×100 =精米歩合(%)
麹づくりと仕込み
原料加工(洗米・浸漬)
精米後、洗って表面のぬかを取り除き、水切りをします。(洗米)
水に浸す工程(浸漬)は、後の麹作りに大きな影響を与えるため、非常に重要です。
浸漬後水切りをした米は、麹が生えやすくしたり発酵させやすくするために、甑(こしき)で蒸します。
蒸し
必要なだけ水を吸わせたお米は、甑(こしき)で蒸します。食べるご飯のように炊いてしまうと、柔らかくなりすぎてお酒造りに向かないので、蒸気の熱で蒸します。この蒸し加減が麹の出来上がりに大きく影響します。
蒸し上がった米(蒸米)は冷やした後に、麹室に引き込んで麹造りをしたり、仕込みに使います。
製麹(せいぎく)
麹室に引き込んだ蒸米は麹棚の上に広げて更に麹の生育しやすい温度まで冷ました後、種麹から麹菌を振り掛けてよく混ぜます。(床揉み)
半日後に麹を振った蒸し米を揉みほぐし(切り返し)、麹箱に分けます(盛り)。
その後は、麹室で温度・湿度を管理し麹菌を目的の状態に育て、出来上がったらそれ以上麹が育たない様に麹室から出して冷やします(出麹)。
酒母作り(酛立て)
醸造の最初の工程は、蒸米に麹米と水、乳酸菌、酵母を加える事で、健全な酵母を大量に培養した酒母を作ることです。酒母(酛)とは、文字の通り酒の母です。
酒母を作るときに乳酸を加えるのは、環境を強酸性にして酵母以外の雑菌を殺すためです。
酵母菌は酸性に対する耐性が強いため、この厳しい環境で雑細菌の影響を受けることなく増えることができます。
ここ説明したのは、現在主流となっている速醸酛による酒母作りです。その他代表的なものとして、乳酸を添加する代わりに蔵に住む天然の乳酸菌を活用で培養する、伝統的な培養方法の生酛法があります。
仕込み・醪(もろみ)
次のステップでは、さらに蒸米、麹米、水を酒母に加えて量を増やして行きます。この工程は「仕込み」と呼ばれています。
酒造りに使用する全部の量の原料を一度に投入すると、酸性が低下して雑菌増殖のリスクが高まると共に、糖分が増えて酵母が弱わってしまいます。そのため、4日間で3回に分けてで量を増やす3段階の醸造方法が主流になっています。
3段目の仕込み(留め仕込み)終了後、通常20日で発酵が終了しますが、吟醸や大吟醸などの「醪」は30〜40日掛けて発酵させます。
上槽(お酒を搾る)
発酵が終わったら醪を濾します。この工程を上槽といいます。この工程を行うことで「清酒」となります。
上槽は通常機械で搾りますが、昔ながらに槽と云う容器に酒袋を並べて置き上から力を掛けて搾る方法や、新酒鑑評会への出品酒などは酒袋から滴る清酒だけを集める方法などもあります。
お酒の出荷
上槽された清酒は一旦タンクに貯蔵され、澱を下げます。出荷するときに上澄みの澄んだ部分を取り出しますが、あえてタンクに取り付けられた下の方の取り出し口から取り出し澱を含ませた製品「おりがらみ」もあります。
通常、上槽した清酒は一旦火入れを(低温殺菌)してタンクに保管され、瓶詰め前に再度火入れします。
火入れしていないものを「生酒」といいます。また、一度火入れされる「生詰酒」や「生貯蔵酒」もあります。
上槽後すぐに出荷される清酒もあれば、長期保管後に出荷される清酒もあります。ですから、日本酒のラベルに記載されている製造年月日は、瓶詰めされた日付ではなく、瓶詰めされた日付を示していますので注意してください。
この記事の筆者
日本ツーリズム運営局(オフィスイチヤマ)
日本ツーリズムは日本酒に対する潜在的な需要を発掘すると共に、日本各地の蔵元さんとユーザーをつなぎ、日本酒で地方を元気に、そして日本を元気にして行くと共に、世界へ日本酒の魅力を発信していくことを目指して行きます。
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